今回は チンチラの強制給餌の方法 についてお話しします。
この記事は Instagramのフォロワーさんからの実体験 や、私自身が学び、経験してきたことを加えてまとめています。ご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございます。
また、「強制給餌やお薬の与え方について知りたい」という声を多くいただきました。私も日々、試行錯誤しながらチンチラと向き合っています。同じように悩んでいる飼い主さんの助けになればと思い、この記事を書きました。
「正解」はひとつではない
動物医療には 絶対的な正解 はないと思っています。
SNSなどでは「この方法が正しい!」「こうすればうまくいくのになんでできないの?」という意見を見かけることもあります。でも、それがすべてのチンチラに合うとは限りません。
個体によって性格も違えば、嫌がる体勢も異なります。飼い主さんとの信頼関係や、その子にとっての ベストな方法 はそれぞれです。
もちろん、心配してアドバイスをしてくださる方もいると思います。ただ、その言葉がときに 悩んでいる飼い主さんを傷つけてしまうこと もありますよね。
私も日々、獣医師の先生と相談しながら試行錯誤を重ねています。もしこの記事を読んでも「うちの子には合わないかも…」「他の方法はないかな?」と思いましたらインスタかこちらにコメントください。
フォロワーさんなら通知が来るので、なるべく早くお返事します。(仕事の都合で2~3日ほどお時間をいただくこともあるかもしれませんが、必ず返信します。)
一緒に悩みましょう。試行錯誤しましょう。
チンチラはとても繊細で、体調を崩すと一気に悪化してしまうこともあります。だからこそ、 悩むことは大切なこと です。
「このやり方で大丈夫かな?」
「本当にこれでいいの?」
そんな不安を抱えるのは、 チンチラのことを大切に思っているから ですよね。
私も同じ気持ちです。だからこそ、一緒に考え、寄り添いながら、少しでも負担の少ない方法を見つけていけたらと思います。
大切なチンチラさんのために、できることを一緒に探していきましょう。
強制給餌の前に知っておきたいこと
チンチラは普段から食事を少しずつ摂る動物です。そのため、「何も食べない」状態が続くと危険であり、早急に対応する必要があります。特に、以下のような状態になっている場合は要注意です。
✅ 食欲がなく、ペレットや牧草を食べない
✅ うんちが小さくなっている、または出ていない
✅ ぐったりして動かない
このような症状が見られた場合、まずは獣医師に相談しましょう。そのうえで、自宅でできる強制給餌についても正しく理解しておくことが大切です。
注意点
• 無理強いしない: チンチラが嫌がる場合やストレスを感じている様子が見られたら、無理に給餌を続けないでください。
• 観察と記録: 給餌量や飲水量、排泄の状態を記録し、獣医師に報告できるようにしましょう。
• 獣医師の指示を守る: 薬の投与は必ず獣医師の指示に従い、自己判断での変更や中止は避けましょう。
↓給餌についてではないですが一応書きます、、、。
■ 飼い主の自己判断での薬の調整はNG!
✔ 勝手に規定量以上を与えない
✔ 自己判断で投薬を中止しない
✔吐き戻せないため注意!
チンチラは胃の構造上、嘔吐ができません。適度な水分を含ませつつ、一度にたくさんの量を与えないようチンチラの様子をみつつ給餌してください。
またSNSでお薬飲まないから勝手にやめたという投稿を見かけるのですが、、、「治す」には飼い主さん、ご家族の協力が必須です。病院側も飲まないから薬をあげるのやめた、違う飲みやすい薬にしてほしいと飼い主さんから言われても、かなり困ります。都合の良いお薬なんてありません。そしてチンチラさんに与えられるお薬は限られています。飼い主さんのマインドもかなり大事です。
・チンチラに恐怖心を与えないことが最優先
・鼻に付かないよう注意!
・シリンジを奥まで入れすぎない(無理に押し込まない)
・給餌の際、お腹を押さえない
・汚れた口周りはこまめに拭く(髭も)
姿勢に注意
- 仰向けや横向き(仰臥位・側臥位)で与えない
デデンの湯管理人Mとしてはあまり仰向けでの給餌はおすすめしていません。チンチラは本来仰向けでご飯をみずから食べることが少ないため仰向けは苦しいのではないかなと考察しています。なるべくいつもの体勢での給餌が良いとは思いますが一番は食べてくれることなので一応給餌のやり方は書いてあります。
温度管理
体調が悪い時は体温が下がりやすいため、温度管理がとても重要です。
☑ 夏はエアコンの冷えすぎに注意し、ウサギ用ヒーターを併用

☑ 冬は寒さ対策をしっかりする
動けないチンチラでも、温度調整ができるような環境を作る
チンチラは寒い気温が良いとされていますが、部屋の温度はいつも通りに。ヒーターで暖かいところやひんやりグッズで涼しいところを自分で選べるようにしてしてあげてください
チンチラは15℃~22℃が適温です。体調不良時は特に温度変化に敏感なので、エアコンやヒーターを活用しましょう。
■ 体温測定は避ける!
犬や猫と違い、チンチラの直腸は繊細で傷つきやすいため、無理に体温を測るのは危険です。
■ 触りすぎないこと
チンチラの性格によりますが、体調が悪い時にやたらと触るとストレスを与えてしまいます。
なぜ強制給餌が必要なのか?
チンチラは「何も食べない状態」が続くと、腸の動きが止まり(うっ滞)、命の危険があるため、強制的に栄養を補給する必要があります。
チンチラの消化器の特徴
- 常に繊維質を摂取することで腸が動く
- 長時間絶食すると腸内環境が悪化し、急激に体調が悪化する
- 自力で食べるのが理想だが、食べられない場合は給餌が必須
避けるべきフードと適切なフード選び
(1) 避けた方が良いフード
- 小麦粉などの穀物を多く含むもの(消化負担が大きい)
- 繊維質が極端に少ないもの(腸の動きを助けない)
- 高糖質なフード(腸内細菌のバランスを崩す)
(2) 繊維質が少ないフードがダメな理由
チンチラの消化管は繊維質を摂ることで正常に動く仕組みになっています。低繊維のフードばかりを与えると、腸の動きが鈍り、ガスが溜まったり、腸炎を起こすリスクが高まります。
(3) 強制給餌におすすめのフード
獣医師によって推奨するフードが異なりますが、「売られているものなら何でもいい」ではなく、成分をしっかり確認することが大切です。
- 高繊維質&高カロリーのペレットを粉末にしたもの
- 小麦粉不使用の流動食用フード
- 獣医師と相談して選んだ適切なもの
その他
・ペレットをコーヒーミルで粉砕し、専用の流動食の代わりにする人もいる
・食べるものが限られる場合、うさぎ用フードを試すのも一つの方法(成分に注意)
基本的にはしっかりと栄養がとれる流動食をおすすめします。お値段的にペレットで代用のかたもいますが、ここはケチらないでほしいところ。
今まで食べていないものを嫌がる・食べたくないと思うのは当たり前の現象です。そのため流動食をどうしても食べない場合やシニア期の場合はペレットを代わりに試してみるのも良いかと思います。


余談ですが、、、これは他の動物でも言えることなのですが押すタイプのものはおすすめしません、、、。理由は音が結構出るのでその音で動物たちが気づく、そして何よりも手が痛い!!!!!!!!自動のものをおすすめします、、、
給餌フードの割合
水やジュースで溶かす割合は給餌の目的により変わる。
水分補給の場合水分量多めで溶かす。カロリーの補給であれば濃度を濃くする。
ただ、個体により水分多めが苦手だったりするのでこれはあくまでアドバイス程度にその子の様子を見て与えてください。
用意するもの
強制給餌用シリンジ(スポイト)
• チンチラは小さな動物なので、無理なく口に入るサイズのシリンジやスポイトを使用します。
• シリンジ(1ml・2、5ml・5mlなど、チンチラの状態に合わせて使い分ける)
専用の給餌食(強制給餌用フード)
清潔なタオルや布
• チンチラを固定するために、優しく包み込むための清潔なタオルや布を用意します。
• 不安定な状態だとチンチラが暴れてしまうことがあるので、しっかりと包んで落ち着かせることが大切です。
水分補給のためのシリンジやスポイト
• 強制給餌と一緒に水分補給も重要です。水を用意しましょう。
おやつや好きな食べ物(励まし用)
• 給餌が終わった後に、チンチラがリラックスできるようにおやつや好きな食べ物を用意して、ストレスを軽減させることができます。
青汁やりんごジュースで溶かす
・脱水予防にもなる
・国産や果汁100%のものにすること
・チンチラさんは甘いものが好きなため甘い液体を混ぜると食べてくれることも。しかし虫歯や肥満の原因にもなるので必ず原液ではなく薄めて混ぜてください。
ここのゴールは水で溶かしても食べてくれるような状態

最初は病院からもらえるのでサイズ含め多くもらっておいたほうがのちに楽です。また私はテルモが使いやすく好みですなのでこの2、5を普段のお水のみで使用しています
給餌となるともう少し大きめのほうが良いかとは思うのですが、、、これはチンチラさんにとって好みがわかれるところ
状態による注意点
✔ 食滞の場合
・無理に給餌せず、腸の動きを促す薬を投与してから行う(基本的には獣医師の判断に従ってください)
・お腹が痛いので基本的にはタオルで与えられたら良いかなと思います。あまり無理にすると悪化する場合があるので様子を見ながらにしましょう。
✔ 不正咬合(歯の異常)の場合
・上手く飲めない子や高齢の子は、お皿タイプの給水器も用意
・不正咬合の子は上手くお水が飲めないので給水ボトルの口に歯を引っかけ切歯が折れてしまう子も多いため給水ボトルも注意
・頬粘膜や舌、歯肉に過形成が見られることが多いです。給餌を行う際、お口周りを触ることが痛みを引き起こすことがあるため、お口付近を触らずに給餌を行うようにしてください。
. 給餌の工夫と代替方法
必ずしもシリンジで与えなくても大丈夫な場合があります。
✔ お皿やスプーンで与える
✔ ペレットをふやかして団子状にする
✔スプーンやマドラーを使うと、強制給餌ではなく自発的に食べてもらえることもある
強制給餌を避けられるなら、チンチラが自然に食べられる方法を試してみましょう。
給餌の量と回数
1回の量を多く与えると、消化器官に負担がかかるため、少量ずつ、回数を分けて与えることがポイントです。
📌 目安
・1日あたりの飲水量:40~70ml
・1日あたりの給餌量:体重の1~5%(個体差あり)
健康なチンチラであれば、1日に21~50gのペレットを食べると言われています。これを目安に、**「少量を複数回に分けて与える」**ことを意識してください。
強制給餌の基本的なやり方
タオルを使った給餌❶仰向け編〜あまりおすすめではない〜
・正座をしてチンチラをタオルで包み自分のフトモモの上に仰向けで寝かせ給餌する(少しだけ頭の方をあげる)
・給餌後は必ずお水をあたえてください
☆POINT
・手が出ていると嫌々されやすいので手はタオルで包んだほうがよいが必ずではない
・またお髭も変にタオルに包まれると気にしてしまうのでなるべくお髭は綺麗に出ているかチェック
・絶対に包んだまま落とさないこと!
タオルを使った給餌❷〜病院で多いやり方〜
・タオルで包み正座をし、足の間にいれる。この時両足で力いっぱい抑えないこと。
・人間の上半身を下げて給餌する。チンチラの顔は上にあげないこと。
・給餌後は必ずお水をあたえてください
抱っこであげるやり方
・右利きの場合、左腕でチンチラの体を固定し、左手で口を開けながら右手でシリンジを持ち給餌する。この場合うっ滞などの疾患時は体を抑えすぎずできるなら❷のやり方が望ましい。歯科疾患の場合は口を触る際は唇だけを触ったほうが良い。
・給餌後は必ずお水をあたえてください
② シリンジの使い方
・口の横から、前歯(切歯)を避けて奥歯(臼歯)側に差し入れる
・無理に口をこじ開けず、少しずつ押し出す
・誤嚥を防ぐため、一度に大量に流し込まない
・シリンジの先が口にあたることを嫌がってしまう場合は先を切ってあげるのもおすすめだがカットしたところで鋭利になっていないか確認すること。
③ 給餌の硬さと温度
・人肌程度の温度にする
・ペレットを砕き、水か国産青汁、果汁100%りんごジュースのどれかで溶かして適度な硬さに調整する(獣医師からシロップをもらえたらもらう)
・硬めのほうが少量で栄養を取れるが、シリンジに入りやすい柔らかさも重要
④ 2人1組での給餌
・1人が体を固定し、もう1人がシリンジを使うとスムーズ
・支える人がしっかり固定し、無理に押さえつけない
気を付けるべき点
暴れたりする場合や少しでも嫌がってしまった場合、チンチラの体温が上がってしまうことがあります。耳を触り少しでも温かいと感じた場合は中止を。また部屋の温度を下げること、そのお部屋で休憩。給餌する前から少し部屋の温度を下げることもおすすめします。
給餌の目指すべきところ
正解はないと書きましたが、給餌に対し一番ベストな与え方は体に触れることなくシリンジを近づけるとそのまま食べてくれることです。そして自発的にご飯を食べてくれるようになることです。
個体によっては自分で食べられなくてもお口付近に持って行ってあげると食べる場合があります。必ずしも抱っこしないといけないわけではないので、もしできるようならば抱っこをせずに食べれることを目指しましょう!
そして強制給餌ではなく自発的に食べられるように促す補助給餌にかえていきましょう!
これだけは絶対NG!
シリンジで一気に流し込むと、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。
■ 誤嚥性肺炎とは?
気管に食べ物や水が入り、炎症が起こる状態。
特に、高齢のチンチラや治療が必要な子は嚥下能力が低下しているため、リスクが高いです。
■ 誤嚥を防ぐために
✔ 普段食べている体勢に近い姿勢で与える(頭を下げすぎない)
✔ 無理な体勢で与えない(仰向けや横向きではなく、自然な姿勢を保つ)
✔ 少量ずつ、ゆっくり与える(一度に大量に入れない)
✔ 飲み込んだことを確認しながら与える(チンチラが疲れないように)
✔ 食事の時間を工夫し、空腹になりすぎないようにする
■ 例外的な場合
もしチンチラが寝たきりの場合は、上半身を支えて頭が一番高くなるように調整しながら与えることがポイントです。
■ 強い力で胸部や腹部を押さえると、肺や肝臓が破裂する恐れがあり、非常に危険です。特に、体調が悪い場合や急性の症状がある場合は、慎重に給餌する必要があります。
■保定の際皮膚を掴んではいけない
チンチラにはファースリップという被毛が抜ける現象があり、皮膚も薄く掴まれると痛いため掴まないようにしましょう。
■空蹴りをさせない
蹴る力が強く地面に後肢があたっていないと骨折させてしまう恐れがあります。空蹴りはさせないように気をつけましょう!
病院への報告事項
次回の獣医師訪問時には、以下の点を報告・相談すると良いでしょう:
✔ うんちの量・重さ(g)
✔ 飲水量(ml)
✔ 給餌の量(強制給餌ならcc・mlで記録)
✔ 動き方の変化(元気があるか、いつもと違う歩き方をしていないか)
✔ 呼吸の様子(浅い、苦しそう、速いなど)
✔ お腹の張り具合(膨らんでいるか、硬くないか)
✔ うずくまる時間が長くないか
✔ 餌を近づけた際の反応や、普段と異なる行動があれば伝える。
✔ 餌を口元に持っていった時の反応(食べようとするか、嫌がるか)
何かあった時に日頃からやれること
■ お菓子を与えないと、薬の投与が難しくなる
✔ 基本的にお菓子は不要で、与えすぎると糖尿病や歯石のリスクがある
✔ しかし、病院で処方される薬の中にはブドウ糖で甘く調整されているものがある
「普段から甘いものを全く与えていないチンチラは、薬を拒否する可能性がある」
■ シリンジ慣れをさせる
✔ 日頃からシリンジで水やジュースを与えるなど、シリンジに慣れさせる習慣をつけておく
✔ チンチラがシリンジを噛まないように注意する
■ 食べられるものの範囲を広げておく
✔ いざという時のために、好きなお菓子を見つけておく
✔ 甘いものや液体に慣れさせることも重要
病院ではできるのにお家ではできないのはなぜか
この問題よく聞きますが、チンチラさんにとったら見慣れない場所・人🟰緊張マックスです。
また病院側はプロのため保定が上手です。この保定については獣医師さんではなく、担当の看護師さんにお聞きしましょう。分野によりますが獣医師さんより看護師さんの方が保定がうまい場合もあります。
病院をどこまで信用するか
上記にこんなことをかきましたが、実際問題チンチラさんの病院は少なく、またあまりにも酷い病院がたくさんあります。SNSでチンチラを診察できる動画が可愛いからといってそれだけの判断で通わないでほしい。実際に酷い病院で亡くなった子達をSNSで見ると悲しい気持ちでいっぱいです。
どうか適切な病院選びを。
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